基準率の錯誤

 基準率の錯誤(Base Rate Fallacy)は、確率判断や統計的推論において、基準率(事前確率)を適切に考慮せずに判断を下す誤りを指します。基準率とは、ある特定の事象が発生する確率や事象の頻度を示すものです。


基準率の錯誤は、具体的な事例や特殊な情報に過度に注目し、基準率を無視する傾向があることに起因しています。人々はより具体的な情報や具体的な事例に基づいて判断を行いがちであり、基準率や統計的なデータを適切に考慮しない場合があります。


例えば、ある病気の発生率が非常に低いと知られている場合を考えてみましょう。この病気を検査する新しいテストが開発され、そのテストの精度は高いとされています。しかし、テストの陽性結果(病気に感染していると判定される)に基づいて、その人が実際に病気にかかっている確率を判断する場合、基準率の錯誤が起きる可能性があります。


基準率の錯誤が起きると、テストの陽性結果に過度に重きを置いて病気にかかっている確率を高く見積もりがちです。しかし、基準率が低い場合、テストの陽性結果が出た場合でも実際に病気にかかっている可能性は低くなります。


基準率の錯誤を避けるためには、具体的な事例や特殊な情報にだけ注目するのではなく、基準率や統計的なデータを適切に考慮する必要があります。特に、希少な事象や低確率の事象に関する判断を行う際には、基準率を重視することが重要です。